塾の変遷〜小説 みかづき1
2016.11.24 Thu
塾を題材とした小説「みかづき」森絵都 著 を読了しました。
この小説は、戦後千葉で開設された私塾が、時代にのり、規模を大きくし、様々な問題を通り抜けながら変わっていく様を描いています。
塾中心というよりは、そこに関わる家族の人間模様が中心です。
「みかづき」というタイトルの意味は、本を読んでのお楽しみではありますが、
本の帯にあるように、教育の本筋=学校は太陽、塾は影の存在=月、
という戦後塾が始まった頃の構図があります。
今、中学生ともなると、塾に行かない方がおかしいというほど、塾の存在は当たり前のものになっています。
しかし、開設当時学校や新聞など世論にたたかれ、塾に通う生徒は隠れて通っていたのだそうです。最初は主に勉強のできない子の補習塾という位置づけでした。
そこから、昭和50年代くらいから塾の全盛期となり、べんきょうのできる子が差別化するため、進学塾という位置づけになってきます。
やがて、個別塾の時代。
そして、いつの時代もそうですが、経済格差が顕著になってきた現代、進学塾に通えない子たちをサポートする福祉としての無料塾
時代とともに、時代の影として、塾の変遷が見て取れます。
社会の矛盾が、一番先っぽの一番弱いところに表れます
ただ、いつの時代も、学んで、わかると嬉しい!
という子供達の輝く瞳に、教育に携わる者はかなわないのです。
そういう意味で、とても恵まれたやりがいある仕事であると言えます。
この本は、教育について色々なことを教えてくれています。シリーズで書いていきたいと考えています。
お楽しみに
| 2016.11.24 18:18 | おすすめの本 |