文章が理解できないのは読解力不足だけではない~ごんぎつねの読解~
少し前に話題になった、「子どもたちが、「ごんぎつね」を読めない問題」覚えていますか?
それは、小学校の国語の授業の話。ごんぎつねを題材にして授業が行われていた。
ごんぎつねが、兵十の家にあった魚やうなぎを逃してしまった数日後、
ごんぎつねが兵十の家を訪ねると、葬式の準備をしていた。
近所の人が集まり、家の外で火をたいて、鍋がぐつぐつしていた。
というシーンで、
先生が生徒をグループにして、話し合わせた。「この鍋で何を煮ているでしょうか」
子どもたちは、真剣に考えて、答えを出した。
半分以上のグループの子たちは
「亡くなった兵十のお母さんを煮ていた」
と答えた。
それを見た先生たちは、嘆いた。
「人の気持ちがわからない」「想像力、読解力の欠如だ」と。
ネット上でかなり話題になった。
それは、読解力や感受性の問題ではないだろう、と。
普段から多くの子供たちに国語を教える立場からも、
これは、読解力のもんだいではなく、
子どもたちの問題でもなく
指導者の想像力の欠如、指導方法の間違いだと思う。
こちらの本の冒頭部にそのエピソードがある。
試しに、コクリエに通う中学生3人に同じ質問をしてみた。
中三生2人中二生1人だ。
この内、中三生の一人は、難関私立中学で、学年1位から3位に間には常に入っている子だ。
3人ともよく本を読んでいる。本の虫と言ってもいいくらいに本を読んでいる子もいる。
中二生「何かを消毒するために湯を沸かしている」
中三生「お母さんの死体を煮ている」
中三生「・・・・何か食べ物を煮ている???理由はわからないけど」
そう、中学生でも、本の虫でも、
みんな、先生が期待している答えには行きつかないのだ。
なぜ???
3人とも、この時代の葬式について、何一つ知らないから。
現代の葬式は、葬儀会館で行い
葬儀社のスタッフが取り仕切り、近所の人はせいぜい弔問に来るだけ。
通夜葬儀では、親しい親戚だけに取り寄せた食事をふるまう。
ごんぎつねの時代の葬式は
家でとり行い。
近所の人が手分けして取り仕切り
近所の人が作った煮物を出席者にふるまう。
近所の人が集まって煮物をするなどという習慣は、
現代の日本にはない。
近所の人が葬式の日に何かを煮ていたら
それが、葬式に来た人にふるまう食事野ための煮物だなんて、想像すらできない。
子どもたちがこれを想像できないのは、いけないことだろうか??
私は、比較的田舎で育ったので、リアルに近所の人が集まって祖母の葬式をとり行ってもらった経験がある。
しかし、私と同世代でも、このような葬儀の経験のある人は少ないのではないか?
この話を、国語指導者養成講座の卒業生たちと話したとき、
多くの人は経験はなかったが、
テレビアニメの「日本昔ばなし」などで、こういうシーンを見たことがある、
と話してくれた。
小学校の先生の授業の進め方に疑問がある。
ここは、想像したり考えたりする部分ではなく
昔の日本の風習として、情報をあたえる必要があると思う。
この授業のしかたを、外国人向けにするだろうか?
この風習を知らないかもしれない外国の人に、
昔の日本の生活様式として、「葬式のときは・・・」と教えるのではないか?
日本は、戦後、昔の生活習慣や、住まいや、考え方などの多くを捨てて
西洋式の新しい日本として生まれ変わっている。
日本の古い文学や随筆など、その多くの背景は、現代の子どもたちには未知なのだ。
国語指導者には、
そう思って、その前提で、
子どもの立場になって考えてほしい。
自分には当たり前のことが、もはや子供には当たり前ではないのだ。
知らないことは、情報として与えて
そのうえで、想像力を働かせるよう、働きかけるのが当然の指導法だと考える。
そうでないと、国語嫌いを量産することにつながってしまうと考える。
#ごんぎつね
#読解力
#子どものせいでなく指導者の力不足
#国語嫌いをつくらない
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2023愛知県の高校入試改革は国語力が勝負!
今の中3が受験する、2023年の愛知県の公立高校入試は、大きく変わります。
主な変更は
1.受験機会が2回から1回に変更
2.受験時期が2月中旬に変更(1か月早くなる)
3.解答方法がすべてマークシートに変わる
今回お話したいのは3番について
解答方式がすべて選択式になる、というものです。
一見、受験生にとって、楽な変更だと感じます。
特に、国語の記述問題がなくなるので、国語嫌いの子は一瞬喜びます。
実は、そうではなく、国語が得意でない子にとって、選択式の解答は、楽だとは言えないのです。
なぜなら、高校入試の目的は、合格者と合格しない人を分けること。
そうなると、差をつけるために問題や選択肢は、選びにくいものとなるでしょう。
一足早くマークシート式に変更した神奈川県の問題は、確実に難化したといいます。
その為には、度の教科でも、選択肢は、間違いやすいもの、
パッと読んだだけでは、どれが正解かわからないものになる、ということです。
つまり、選択肢が、長文化し、注意深く読まないと
どれが正解かわからないものになることが想像できます。
国語が得意でない子は、文章を読むことが嫌いです
文字が大量に書かれているだけで、戦意喪失です。
文字の多い文章を読むことを放棄して、
「適当に」選択してしまうことは容易に想像できます。
これが、国語だけではなく、すべての教科においてテスト紙面が文字で埋め尽くされるのです。
実は、この傾向はすでに大学入試「共通テスト」をはじめとして、
多くの入試で、数学などの国語以外の教科のテスト問題が文字で埋め尽くされ
国語が得意でない学生が戸惑っているという現実が報告されています。
数学の問題なのに、読みにくい文章を乗り越えないと先に進めないのです。
「理系だから、国語はいいかな」
「まずは、英語と数学、国語はわざわざ学ばなくても・・・」
という時代は終わったのです。
まずは国語力
まずは、「読解力」
文章の意味を自分で理解することが第一歩なのです。
なぜ?
社会が変わり、求められる能力が大きく変化したからです。
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